お金が減少しないための利益水準/病院経営の指標・読み方Vol.015
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業種
病院・診療所・歯科
- 種別 レポート
損益計算書で利益が出ているのに、お金は目減りしているケースは散見されます。利益が出ているのにお金が目減りするのは、何が問題なのでしょうか?
利益が出ているのに、お金が目減りする?
利益が出ているのにお金が目減りする。それは特殊なケースではなく、頻繁に発生します。例えば次のようなケースが考えられます。
- 急激に売上が伸びたが、実際に入金されるのは2か月後である。
- 先月、大量に医薬品や診療材料費を購入した。その支払いが今月発生した。
- 高額な設備投資をした。その支払いが今月発生した。
- 理事の終身保険に加入しており、年払いで保険料を支払った。
- 看護学校に通学する奨学金を、複数人に貸与している。
- 借入金を急ピッチで返済している。
- 法人税など多額の税金の支払いがあった(確定納税と予定納税)…
お金が増える計画を!
すでにお分かりのとおり、利益が出ているのにお金が目減りするのは、病院の損益(収益と費用)と実際の入出金は異なるものであったり、時間差があったりするからです。
では現実問題として、お金を減少させないようにするためには、どうすればよいのでしょうか?
それは、利益とお金の動きのズレやタイムラグを補填できるだけの利益を確保することです。利益で終わるのではなく収支まで見て、その金額をプラスした利益を、翌月に計上できるように経営することです。
かなり大雑把に説明すると、例えば、今月の利益が1,000万円で設備投資を500万円(翌月払い)した場合、翌月には1,500万円の利益を出さなければ、お金は目減りします(他の条件が不変であれば)。
1~2は、一時的な問題ですので、数か月単位で見るとお金に与える影響はほぼ無くなるでしょう。
しかし3~7は、それに見合った利益を最低限確保しなければ、お金は確実に減少してしまいます。そして重要なことは、3~7は事前に分かっていることが多いということです。
3月は定時社員総会や理事会の開催月となっている医療法人が多いと思います。この時期の会議は来期の予算承認が必ず議案に挙がっていると思います。
来期の予算(利益計画)を、単に利益だけで見るのではなく、あらかじめ分かっている収支(お金の動き)まで含めて考えると、目標利益の考え方も変わってくるかもしれません。
一年後にはお金が増えているように、収支の視点から計画されることをお勧めします。
病院経営の健全化のために、いま必要な意思決定を議論します。
本稿の執筆者
藤原ますみ(ふじわら ますみ)
NKGRコンサルティング株式会社 取締役
クリニック・病院・社会福祉法人の財務会計に従事し、有料老人ホームの立ち上げにも参画する。現在は、病院の財務・管理会計の導入を通じた経営改善も担う財務のプロフェッショナル。公的機関主催の研修でも講師を多数務め、数字に苦手な受講者でも「今までで一番分かりやすかった」と、絶大な支持を得ている。
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日本経営ウィル税理士法人/NKGRコンサルティング株式会社/株式会社日本経営
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